SARscapeを動作させる端末には、一定のスペックが求められます。ここでは、公式に案内されているスペックや留意点についてを記載しています。記載内容などについてご質問、ご不明な点などあれば、弊社サービスまでご連絡いただければ幸いです。
公式にアナウンスされている推奨スペック
SARscapeの開発元であるsarmap社が公式に案内している最小のスペック・推奨のスペックを以下の表に記載します。
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最低スペック |
推奨スペック |
CPU |
AVX をサポートする4コアCPU |
AVX2をサポートする 6コア以上のCPU |
メモリ |
8 GB 以上のRAM |
32 GB 以上のRAM |
その他 |
OpenCL 1.2 ランタイム |
OpenCL 1.2 ランタイム
4GBメモリ以上のFP64サポートのGPU |
それぞれの留意点
上記に記載された推奨のスペックについて、以下の通り補足します。
- CPUの性能では、コア数とクロック数の両方を考慮してください。計算において片方の要素のみが優先されることはありません。
- 使用するCPUについては、可能であればAMD社製のものではなく、Intel社のものをご利用ください[1]。
- GPUは最低でも4GB、理想は8GB以上のVRAMを推奨します。また、GPUリソースで処理する場合、FP64(倍精度浮動小数)のサポートは必須となります[2]。
- 計算リソースについては、CPUとGPUのどちらを使用するかをユーザ様の方で選択できます。そのため、GPUが推奨スペックを満たしていなくても、CPUによる処理を選択して計算を行うことが可能です[3]。
- SAR画像は数GB単位の容量を持つデータであることが多いため、中間生成物の出力先として2TB程度の内蔵のストレージがあることが推奨されます。特にGPUを利用した処理では頻繁な読み込み/書き込みが行われるため、外付けハードディスクの利用は非推奨です。
[1]SARscapeは端末へのOpenCL Runtimeのインストールを必須とします。Intel CPU用のOpenCL RuntimeはSARscapeのインストーラに同梱されているほか、Intelの公式サイトからも最新のものをダウンロードすることが可能です。一方、2018年にAMD社がCPUデバイスのサポートを中止し、それに伴いAMD CPUのOpenCL Rutimeのダウンロードページも閉鎖されてしまいました。Intel CPU用のOpenCL RuntimeをAMD環境にインストールすることでAMD CPUマシンでもSARscapeが利用できる可能性はありますが、インストールや動作確認に関して弊社ではサポート致しまかねます。
[2]現行のSARscapeにおいてFP64の機能が使用されるのは、FP32で精度が十分に確保できないごく少数のスポットに制限されています。FP64はFP32と比べて1/32にパフォーマンス低下が見られますが、sarmapの見解では、この影響はほとんど無視できるとのことです。購入予定のGPUがFP64のサポートをしているかについては、購入予定のベンダ等にご確認ください。
[3]本記事執筆の時点(Version5.6.0)では、CPUとGPUのどちらを選択するかで処理速度において大きな差は生じません。これは、SARscape内部でのCPU固有の処理性能を見直したことなどの影響を受けてのものです。sarmap社ではGPUリソースをより効率的に使用できるような改善に取り組んでおり、将来リリースされるバージョンにおいては、GPUでの処理がCPUよりも速度面で有意になる可能性があります。また、GPU性能についてはENVIのグラフィックスにも関わる部分となります。そのため、可能であればCPU同様にGPUについても品質の高いものを選定することが推奨されます。