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ALOS-4 PALSAR-3の対応状況について

ALOS-4(だいち4号)は、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2024年7月1日に打ち上げた最新のLバンドSAR衛星です。ALOS-2(だいち2号)の後継機であり、災害監視、地盤変動、森林観測、インフラ監視などを主な目的としています。本記事では、JAXAから配布されている、だいち4号のサンプルデータを用いて、SARscapeを用いてのデータ処理状況についてお知らせします。

 

データ処理の概要

SARscapeを用いて、同一箇所および撮影条件の2時期のデータを用いて、差分干渉処理を実施します。

 

使用データ

JAXAより配布されているPALSAR-3のサンプルデータは、高分解能3mモード (HH+HV偏波)にて、2025年3月7日と2025年4月18日に関東平野を観測しているシーンが提供されています。サイトでは通常観測と記述されていますが、可変PRFモードで撮影された貴重なデータとなります。現在、PALSAR-3はアンビギュイティノイズを抑えるため、可変PRFモードではなく固定PRFモードにて観測されています。SARscapeにて干渉処理を実施する場合の入力データは、L1.1(SLC)のデータが必要となるため、「L1.1 CEOS」を使用します。また、PALSAR-3データは観測エリアが大きいため、1シーンのサンプルデータが分割して提供されています。本記事では、東京の都心周辺をディセンディング(南行)にて撮影している、Frame:2900、Sub-beam:07のシーンを使用します。

サンプルデータ入手先:https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/alos-4/a4_data_j.htm

 

データ処理の詳細

SARscape (6.3+最新パッチ)を用いて、以下の手順でデータ処理を実施しました。なお、各処理のパラメータなどは弊社から配布されているなどをご参考にしてください。また、SARscapeではワークフローというガイド付きの実行環境が提供されており、これらの処理を簡単に行えます。

  1. PALSAR-3 データのインポート
  2. DEMのダウンロード
  3. 干渉画像作成(コレジストレーション)
  4. 差分位相のリファイメント
  5. 変位マップの作成(ジオコーディング)

 

ALOS-4 PALSAR-3データの読み込み
差分干渉SARのワークフロー

 

データ処理の結果

インポート後のSLCにおける振幅値の画像です。ENVIでは複素数データの振幅や位相の値を画像として表示することができます。PALSAR-3は2偏波モードで観測しているため、データにはHHとHVの画像が格納されています。

図1 SLCの振幅画像(右:HH、左:HV)

 

次に差分干渉処理における中間ファイルをジオコードした、干渉とコヒーレンス画像です。干渉画像では縞模様が見えていますが、こちらは軌道、地形、大気などによる残存する位相差であり、地殻変動などによる変位量と関連するものではありません。コヒーレンスは、2時期の干渉性が高い場合は明るく、低い場合は暗く表示されています。通常、海面は干渉性が低く、暗く表示されますが、PALSAR-3ではアンビギュイティ(擬像)が多く、海面も明るく表示されます。

図2 干渉画像(右)とコヒーレンス画像(左)

 

最後に、振幅画像をジオコーディングして強度に変換した画像と変位マップです。強度画像では、海面特に陸地に近いエリアのアンビギュイティが多くみられます。変位マップもその影響を受け、海面に変位量が出てしまいます。これらの影響は、データ処理の際に使用するDEM(デジタル標高モデル)の海面値を欠損値にすることで回避することができます。

図3 ジオコードした強度画像(右)と変位マップ(左)

 

まとめ

ALOS-4 PALSAR-3の観測データをSARscapeにてデータ処理をしました。基本的なデータ処理機能については問題なく行えます。また、弊社ではScanSAR、Spotlight、固定PRFのStripmapモードの観測データをSARscapeにてインポートし、問題なくデータ処理を実施できることを確認しております。

最後に、本ブログで使用したサンプルデータは、JAXAより提供されているものです。ここに感謝の意を表します。