1276 Rate this article:
No rating

SARscape 5.5 がリリースされました!(翻訳記事)

合成開口レーダー(SAR)データの処理や分析をおこなうための、SARscape 5.5のリリースが発表されました。いくつかの目を見張る新機能がありますので、このブログで紹介します。

 

可視化と分析ツール

おそらくSARscape 5.5の最大のニュースは、ENVIでカスタムタスクベースのワークフローを作成するビジュアルプログラミングツールであるENVIモデラでSARscapeタスクを使用できるようになったことです。ENVIモデラでは、ENVI APIをシンプルで直観的なユーザーインターフェイスと組み合わせて利用できます。ENVIモデラ―を利用することで、IDLプログラミング言語の知識がなくても独自のワークフローを構築することができます。作成したモデルは、ENVIおよびArcGIS Proを介してデスクトップやエンタープライズおよびクラウド環境に展開することができます。

SARscape 5.5では、時系列InSAR解析モジュールの大幅な改善も含まれています。SARscapeのSBAS(Small Baseline Subset)機能には、第1および第2インバージョンの切断率を制御する機能を使用して、不連続なSBAS解析を実行できる機能が追加されました。増分のみを計算するPS (Persistent Scatter) 解析も可能になり、既存のデータ・スタックに新しい取得が追加された際の再計算の処理時間が節約されます。

干渉SAR解析モジュールには、GCPの設定を必要としないワークフローが含まれるようになりました。さらに、変動のモデリングツールでは斜めの範囲の組み合わせや統計計算が可能になり、結果を視覚化するレポートを生成することができます。

これらに加えて、SARscape 5.5では、ENVI Pyバージョン1.2を使用してArcGIS Proとの完全な統合が行えます。この機能を利用するには、デスクトップArcGIS(ArcMapまたはArcGIS Pro)で使用可能なSARscapeタスクだけでなく、スタンドアローンでSARscapeタスクを実行するPython APIも含まれています。

 

データサポート

機能追加のほかにSARscape 5.5では、新しい地球観測衛星と重要な地理空間データフォーマットのサポートを追加しました。データインポートで注目すべき新機能の1つは、一般的なSARデータのインポートです。この機能により、SARscapeでサポートされている衛星データのセンサータイプとデータフォーマットを自動的に認識してインポートを行うことが可能です。

新たにサポートされるデータ製品には、RISAT-1製品があります。RISAT-1は、インド宇宙研究機関によって建設され運用されているインドのリモートセンシング衛星です。サポートされているRISAT-1製品には、Single Look Complex(スラントレンジ)またはMultilook(グランドレンジ)とLevel 2(ジオコード)データ製品が含まれています。日本のASNARO-2およびスペインのPAZ-1 にも対応しました。

SARscape 5.5では、またはSICD(Sensor Independent Complex Data)形式のデータもサポートされます。さらに、SIDD(Sensor Independent Derived Data)形式のファイルも生成することができます。これらのファイル形式に対応するサポートされる衛星センサーは、ALOS-2、CosmoSkymed、RADARSAT-2、Sentinel-1Aおよび-1B、TerraSAR-X、およびTandemX です。

Sentinel-1サポートは、Sentinel-1 Amazonフォーマットの新しいサポートやSentinel-1ダウンロードツールが改善されました。これらの改善には、zipアーカイブの自動抽出、KMLファイルとKMZファイルを使用してダウンロードが行えます。

新しく改良されたSARセンサーとフォーマットのサポートに加えて、SARscape 5.5では、欧州中央気象予報(ECMWF)やOpenStreetMapから提供される気象データをダウンロードする機能を備えています。SARscapeユーザーは、これらのデータをENVIおよびSARscapeのSARデータと統合して、さらに分析することができます。また、AIS(自動船舶識別装置)ファイルから海上交通情報をインポートし、SARデータによる船舶抽出結果と比較することができます。

 

一般機能の改善

SARscapeの開発者は、派手な新機能を作成するだけでなく、SARscapeの細々したツールの調整を行っています。たとえば、ワークフローにデータインポートする機能が追加されていたり、プリファレンスの設定が、SARscape全体に共通するものとデータ固有の設定に分けられています。是非、SARscapeの最新版をご利用ください!

 

この内容は、2018年12月6日の Peg Shippertによる英文記事の翻訳です。